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社会福祉部による寄付先訪問 vol.2


2025年3月下旬、桜の便りの待ち遠しい頃、社会福祉部の寄付先であるキッズファム財団と財団事務所のある「もみじの家」を訪問致しました。
「もみじの家」は世田谷区にある小児と周産期医療に特化した国立成育医療研究センタ―の敷地内にあり、医療的ケアを必要とする重度の障害を持つお子さんたちがご家族とともに過ごすことが出来る医療型短期入所施設です。
この施設は、各国の赤十字で活動されていらした故 喜谷昌代さん(みこころ会40回生)が創設に貢献されました。
みこころ会報誌や講演会、マスコミにも取り上げられましたので、ご存知の方も多いかと存じますが、設立から9年、昌代さんが天に召されて 6年の月日が経ち、改めましてご報告させて頂きます。


医療の進歩により、多くのお子さんの命を助けることが出来るようになりました。そして退院後、人工呼吸器や経管栄養などの医療的なケアが必要なお子さんたちは、主にご家族の介護のもと、全国に2万人以上いらっしゃるそうです。
日々の介護で疲弊したご家族の休息と、何より苦難を抱えたお子さんたちが子どもらしく、安心して笑顔で過ごせる場所を日本でも作りたいという昌代さんの切望が実を結んだ施設が「もみじの家」です。
70代後半で遠くイギリスよりこの施設立ち上げの発起人となり、80歳で設立に貢献された偉業は、昌代さんのご経験と実行力、深い深い愛によって多くの支援者と共に成しえました。
そのspiritは今も、現場のスタッフに根付いており、利用者ご家族もその施設を第2の家のように使っておられます。

中庭からの日差しもあり、施設は明るく清々しいほどで、気持ちの安らぐ施設です。
昌代さんがこだわられた「もみじの家」は決して病院ではない「おうち」であるということが伝わります。
広いプレイルーム、リラックスの為の最新の照明が施されたセンサリールーム、隅々まで配慮された個室、ゆったりとした浴室、医療関係者やスタッフ、ボランティアさん達の笑顔、そして利用中のお子さんたちの明るく生き生きとしたご様子に私たちも元気を頂きました。
キッズファム財団の大川理事、石井理事には喜谷昌代さんの思い、「もみじの家」設立時のご苦労話から施設の細部に至るまで丁寧にご説明頂きました。

日当たりのよいプレイルーム


お風呂から上がってビデオを一生懸命に見ている双子ちゃんと、ボランティアさんとずっと手を繋いでご機嫌のお子さん(手前車イス)

石井理事(左)とシンボルツリーのもみじが植わっている中庭の前で



<キッズファム財団について>
「もみじの家」開設の1ヶ月後、2016年5月に創設されました。
重い病気を持つお子さんとそのご家族の直接支援、その支援の輪を広げるための広報啓発活動をされています。
活動のひとつに、プロのカメラマンによる利用者ご家族の記念写真を撮影され、その写真展を各地で開催されています。
写真館に出向くことすら難しいご家族にとって、家族写真は何よりのプレゼントですし、そのご家族のキラキラした笑顔は見る者を魅了します。

 

石井理事に何かお手伝い出来ることは?とお尋ねしましたら、その写真展を開催できる機会を紹介いただきたいとの事でした。
皆様もお心当たりがございましたら是非社会福祉部までご一報ください。

キッズファム財団提供

ファミリーフォトプロジェクト

撮影風景

キッズファム財団提供

ご兄弟がカメラマンになった

微笑ましいショット

キッズファム財団提供
生の音楽を聴く機会が少ないお子さんとご家族の

為にチャリティーコンサートを開催されています



残念ながら9年を経ても「もみじの家」のように大きな病院に併設され、家族を含めて宿泊できる理想的な施設を全国に拡げるという昌代さんの夢は叶っておりません。
各地にあるのは主に当事者のご家族や関係者が個人的に立ち上げた小規模な施設が多いそうです。
医療的ケア児の施設を増やすことは喫緊の課題で「もみじの家」には大勢の視察がありましたが、なかなか実現しないとのこと、このような施設設立の困難さを素人の私たちも想像できます。
大事業を成し遂げた偉大な喜谷昌代さんと同窓であることを誇りに、一人でも多くの皆さまにキッズファム財団と「もみじの家」についてお心に留めて頂けたらと願っております。

文責 2024年度社会福祉部幹事68回生
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キッズファム財団や「もみじの家」喜谷昌代さんについてもっと知りたい方は下記リンクや書籍もご覧ください。
◆キッズファム財団

 https://kidsfam.or.jp/
◆もみじの家

 https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g00825/
◆喜谷昌代さんの自叙伝「ひとすじの光」文芸春秋企画出版部
 https://kidsfam.or.jp/archives/6105